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《牢獄の住人》側であった人々は神の領域に辿り着く事を目的としており、その為に多くの人々を必要とした。それに対して、此方の世界に住む人々の祖先が反対した事で戦争は勃発したと言われている。
そうして起こってしまった戦争は、《牢獄の住人》側の軍勢の方が規模が小さかったにも関わらず拮抗し、長期に及んだ。
しかし拮抗しているとはいえ、永遠に続くものではない。戦局はある日を境に大きく《牢獄の住人》側へと傾いた。
それは仕方のない事だったのかもしれない。《牢獄の住人》側の軍勢は、人数が少ないとはいえ、此方の世界に住む人々の祖先側の軍勢と互角に張り合える、言わば少数精鋭である。個人の力が弱くても、ある程度人数が集まれば強い一人に勝つことは可能であるが、その分、一人陥落してしまえば後は脆い。
そういったこともあり、軍配は《牢獄の住人》側に上がろうとしていた。
だが、ある時、《牢獄の住人》側であったある一族が離反し、此方の世界に住む人々の祖先の側に付いたのである。
その一族とは、多数の優秀な魔術師を輩出している二つの一族の一方である、通称《闇髪《やみかみ》の一族》と呼ばれている一族だ。
魔術を扱う一族が離反した事で与える影響は言わずもがなであるが、《闇髪の一族》であったのは非常に大きかった。
それには理由があり、《闇髪の一族》は魔術であっても、特に補助や治療に特化している、一般的には白魔術と呼ばれる魔術を扱う一族だったからである。
それが此方の世界に住む人々の祖先側に付いた。それは此方の戦力が削られる量が減り、彼方の戦力を削る量が増えるということであり、すなわち、量で押し切る事が可能になったということである。
それにより、劣勢に置かれていた此方の世界に住む人々の祖先達の軍勢は見事《牢獄の住人》の軍勢を倒し、彼らを《牢獄の住人》という名の通り、牢獄……別世界へと閉じ込める事で戦争は集結した。
こう、淡々と大まかな流れだけを挙げて行くと短く纏まってしまうが、無論、この背景には英雄の存在が大きく関わっている。
その中に一人、《闇髪の一族》の英雄が居た。
名は、スカディ=コルネリウス。
彼女は多くの人々の命を救った非常に優秀な白魔術師と言われているが、それだけではなく、武勇にも優れていたそうだ。
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