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母方の妹さんの息子。
それが彼、神藤真一郎。
お互い家も近所だったので、幼い時から仲良くしていた。
真一郎の方が歳が1つ上だったので、幼い時は「お兄ちゃん」と呼んで慕っていた。
多分その頃から私は、真一郎の事が好きだったんだろう。
でも、真一郎は私の従兄。
従兄妹同士は結婚出来るとしても、周りの人間は心の底から祝福はしてくれないでしょう。
従兄妹だとしても、私達は長く居続けてしまった。家族や親戚からは『仲の良い兄妹』みたいに思われてるだろうし、昔から知ってる人達からは同じように思われている。
だから、私は彼と付き合わない。それに私がいくら真一郎が好きだとしても、彼は私を『女』ではなく『妹』として見ているから。
「おーい、希桜。待てって、一緒に行こうぜ。
ほら、昔みたいにさ」
後ろから真一郎の言葉が聞こえる。
その言葉に「うん、そうだね。お兄ちゃん」と笑顔で答えたい所であるけど、そうする事は出来ない。
「……ふ、ふん!まだ子供なのね、真一郎は。
私達はもう高校生よ。もうそんな関係じゃないのよ」
だから、彼についつい冷たい態度を取ってしまう。
彼の事が好きだけど、彼にこの気持ちは伝えられないから。
妹としてしか見てない真一郎に、そんな事を言っても彼が困惑するだけだから。
だから、私は今日も彼に冷たく接する。
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