二人で濡れましょう

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「ぐっ……」    何とか踏み留まる。だが、相手はそうは行かなかった。その衝撃で車道へ。   「くそっ!!」    両手で相手の腕を掴み、自分へと引く。      ──ズシャャャッ!!    力強く引っ張り過ぎた為に、引き込んだ勢いに耐え切れず、相手ごと後ろのブロック塀に倒れてしまう。    終わっ、た。何をやってるんだ僕は!?   「みつる……ちゃん?」    名を呼ばれ、その出所に視線を送る。   「あ、あっ……さん。どうし、て?」    不意を付かれ、名前が出て来ない。    けれど、買ったケーキも、浮かれてた気持ちも、どちらも目の前の人物に捧げたいと思っていた。   「ごめんなさい。大丈夫だった?」   「大丈夫だよ。僕は、ね……」    道に転がっている開いた傘の他に、腕に別の傘が掛かってる。    恐らく、僕を迎えに行こうとしていたのだろう。視線を横にずらすと、ズブ濡れのブレザーが、歪つな形になって水溜まりに浮いていた。  
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