二人で濡れましょう

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「そろそろどいてよ。重いんだ」    最低だ。この現状も、八つ当たりしてる僕も。     「おこってる?」   「おこってないよ」    手を伸ばし、ブレザーを掴む。これは、見せられない。もう、形すら止めていない筈だから。見つからない様に、後で捨てよう。   「みつるちゃん、それ何?」   「何でもない」    反射的に後ろへとブレザーを隠す。普段はボーっとしているのに、こう言う事には気付くんだから。 「うそ。雨降ってるに、わざわざ薄着になる人なんていないよ」    本当に……   「ケーキ、買ったんだ。甘い物を食べたくなったから」   「また嘘。私に、買って来てくれたんだよね?」    何もかも見抜かれているんだな。   「ずいぶん、自惚れてますね?」    ひどい事を言っているのに、それでも笑顔で……   「だってみつるちゃん、私にホレてるでしょ? 今日は私の誕生日だし」
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