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この人の前じゃ、僕のプライドも空かされてしまうんだ。けれど、それが気持ち良いから僕は……
「見せて」
「きっと、ぐちゃぐちゃになってるよ?」
負けを認め、ブレザーを解く。
「それでも良いから」
そして、すっかりふやけた蓋を開ける。
「ほら、ね?」
予想通り、ぐちゃぐちゃだった。綺麗にデコレートされていたケーキも、影を無くしている。
「あっ、何か字が描かれてる。これ……く?」
チョコで描かれた文字すら、大半が消えていた。
「これからもよろしく」
「えっ?」
「そう、描いてあったんだよ」
既に、意味を成さなくなってしまったけど。
「そっ、か……じゃあ、食べよ?」
「だめだよ。汚い」
こんな物を食べたって、お腹を壊すだけだ。
「うーん……えいっ♪」
それは分かってる筈なのに、この人は指で表面のクリームをすくうと、自らの口へと入れた。
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