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伝説ならば。
お姫様は魔女に声の代わりに足を貰って、短くとも王子様と一緒に暮らすという幸せを得られました。
けれど現実には魔女も魔法も存在しません。
人魚の私にできることはただ一つ。
彼を見つめて恋い焦がれること。
声を失ってはいないけど、人間に見られてはいけないと言うなら声なんて発することもできない。
これでは声を奪われた人魚姫様と同じです。
いいえ。彼の目に映ることも叶わない私はそれ以下かもしれません。
この恋は決して叶わない。
人魚姫の像の隣で歌う彼の声に耳を澄ませながら私は今日も祈りを捧げた。
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