朱い馬のErinnerungen

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オレが騎士団に入ったのは9歳の頃。 当時騎士団に入団する者は12歳から、早くても10歳か11歳からが普通だった。 異例の9歳での入団試験合格。 騎士団で学ぶのは上の者に対する言葉遣い、マナーから始まり、戦場で生きていく方法まで。 そして騎士道とはいかなるものかというのを毎日朝から夜まで叩き込まれた。 入団のことも加わって、実力か才能か、オレに嫉妬したり恨んだりなんて当たり前。 それでイジメ紛いなことに発展したこともあった。 正直その頃のオレはテュールもシャロンジュも信用なんてしてなくて……。…要はグレていた。 そんなオレにも一人だけオレの全てをさらけ出せる人がいた。 「レオン。また今日も特訓??」 「………王子には関係ないでしょう。」 「むー。レオン冷たい…。」 「………。」 皆はオレのことをレムスと呼ぶ。 けれど、陛下はオレと二人きりの時だけレムスではなく、レオンと呼んだ。 オレもロルフ兄様と呼んで慕っていた。 けれど騎士団での生活で完全にグレたオレはこの頃から陛下をそう呼ばなくなった。 今でもたまに陛下はそのことで寂しそうな顔をするけど、国王と騎士団長という今の立場は、昔の陛下とオレが背負っていた立場よりも遥かに大事な立場だ。 陛下がオレのことをいくらレオンと呼んだって、オレが陛下のことをロルフ兄様と呼んじゃいけない。 その呼び方は、陛下とオレが同等の立場だっていうことを表すんだから…。 そう考えて落ち込み気味だった気分がさらに落ち込んだ。
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