朱い馬のErinnerungen

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「…ロルフ兄様! やっぱここにいたんだな。」 「レオン。…見てごらん、星がとても綺麗だ…。」 小さい頃の陛下…いや、今でも陛下は星を見るのが好きだ。 昔はよく姿をくらました陛下を探しに行ったもんだ。 「……ここよりもずっと東、極東の島国の星も、凄く綺麗なんだって。」 「ずっと東………、インディグオリエドのことか…??」 「確かにあの国はずっと東の方だけどね…。」 そう言った後、星を指差し、指揮をするように動かしていく。 「ポラリス。δ、ε、ζ、η、γ、そしてコカブに繋げると…。」 「小熊座っ!」 「正解。小熊の尻尾は北極星だから、方角が分からなくなったら探すといいよ。」 「そのくらい知ってる!」 「それじゃあカシオペア座は?」 「どれどれっ!?」 そうやって陛下を探しに行った筈なのに気づくと陛下と二人、朝日が近づいてくるまで星を見上げてた。 あの時はこの日々がずっと続いて行くと思っていたのに…。 今から7年前、北暦1535年。 ロットヴォゼル王国第八十六代国王。 シュタイナー・マルクス・ロットヴォゼル先代国王の急死。 父である先代国王が死んで、王位継承権第一位の陛下が10歳で王として即位。 自分も王として忙しいのにオレにすっげぇ優しくしてくれて、オレがグレてた時だって変わらない態度で接してくれて。 分からない騎士団の課題も教えてくれたり、模擬戦で負けた時も励ましてくれたり……。 今思い返すと陛下に迷惑しかかけてねぇな……。 ふと、そこまで考えて、あのことを思いだし無意識に舌打ちをしていた。 「なあ、テュール、シャロンジュ。」 「どうかしたの?」 「…陛下の救いたい人って、誰だと思う……?」 「ああ、戴冠式の時のアレか…。」 「…私が思うに、陛下が救いたい人と陛下が好きな人はイコールで結べると思うわ。」 「!!」 「だって、国よりもその人を優先するのよ? 多より個を選ぶ…、そういうのは大抵、愛よ。」 「……愛…。」 っていうか陛下。 好きなヤツいんのかよ聞いてねぇよ。 いや、別にそういうの聞いたりできる立場じゃねぇけどよ! 誰だっ!? シャロンジュ、いや騎士団じゃなくて城内の使用人…、まさか国内の一般人…? 他国なんて認めねぇぞっ!? この間約2秒。
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