3人が本棚に入れています
本棚に追加
「………レオン…。」
ロルフとレオン。
それは、俺とレムス、
二人きりの時だけの名前。
ロムルス・ロルフ・フォン・ロットヴォゼルのロルフ。
レムス・レオン・フォン・ロトフォゲルのレオン。
俺は小さい時から王を継ぐ器として育てられ、レオンは小さい時から王を護る騎士を歩む者として育てられた。
小さい頃から一緒だった俺達。
だからレオンが俺が王を継ぐよりも早く
「とある人物を救いたい」という目的を知っているのも当然といえば当然で。
その時から今のようにレオンはもちろん誰にもその人物を教えてこなかった。
けれどきっとレオンは、自分が騎士、もしくは騎士団長になればその実力を認めて教えてくれると思ったのだろう。
それに、
俺が王を継ぎ。レオンが騎士となった時。
主従関係といえども共に生きていく為にお互い隠し事は極力しないようと約束もした。
けれど………。
「俺が助けたいのは、お前だって言ったら、お前はどうする…? …レオン。」
レオンがいない部屋で呟いた独り言。
返事が返ってくるなんてあり得ないことで、俺の言葉は虚空に消えていった。
目を閉じて、記憶を掘り起こす。
思い出すのは、遙か未来。
幾度も見た景色。
血の海に沈む歴代最強の騎士の姿――。
北暦1542年。
ロットヴォゼル王国第八十七代国王。
ロムルス・ロルフ・フォン・ロットヴォゼル。
御歳17歳の良く晴れた春の日の事だった。
紅い鳥のEinfuhrung(紹介)
最初のコメントを投稿しよう!