朱い馬のErinnerungen

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「ん…、テュールにシャロンジュか。」 呼ばれ、宙に彷徨わせていた視線を声の方向に向ける。見れば騎士団のメンバーであり、オレの…、あんまり言いたくねぇけど数少ない友人二名がそこにいた。 「…その様子だと、また陛下の所に行ってたみたいだな。」 「……まあ、な…。」 「そして国王様の態度にイラついて部屋を出たというわけですか。」 「………。」 図星。 テュール・グラッツェル、 シャロンジュ・ド・アレオン。 二人ともオレよりも年上だが、一応同期生で今ではテュールは副騎士団長、シャロンジュは女にも関わらず騎士団参謀長を任されてる。 「またかよレムス…。」 「うるっせぇ!! 仕方ねぇだろ! 陛下のヤツ何言っても口を割らねぇんだぞ!? そりゃイラつくだろ!!」 「まあ…。騎士団長ともあろうお方が何ともまあ口の悪いこと…。」 「…シャロンジュ、お前どっちの味方なんだよ…。」 三人で廊下を進む。 その間オレは会話に耳を傾けながらも別の場所に思考をとばしていた。 ――北暦1525年。 七大国が安定して世界を動かしていた時代にオレと陛下は生まれた。 当然と言えば当然だが、陛下には国王という進むべき道があって。 オレにも騎士という進むべき道があった。 騎士への道は当然かもしれないが良い思い出も悪い思い出もある。 けれどオレにとったら良い思い出の方が多いんだろう…。
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