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「――……ママ?」
呼ばれて目が覚めた。気が付くと体には毛布が掛けられている。
「こんなとこで寝てたら風邪ひいちゃうよ」
体を持ち上げると、なんとも言えない気だるさがあった。
起き上がるとひかりの足元に、白い粒がひとつ転がっているのが目に入り、夕べの事を思い出した。
助けてくれた夕べの声……。
夢の中の彼……。
生きてる……。あたし生きてる……。
ふと顔を上げると心配そうなひかりが目に入る。
この子を置いて逝けない……。
「ごめんなさい、ごめんなさい、……」
香澄は顔を覆って泣き出した。
「ママ?どっか痛いの?熱?ママ、ママ……」
心配して近づいてきたひかりをギュッと抱き締めた。
「泣き虫ママでごめんね」
ひかりを抱き締める香澄。
そしてその二人を抱き締める様に何かがフワッと二人を包みこんだ。
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