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別れがいつくるかわかっているなら覚悟もできる。
彼女たちに生活の保証も作ってやれる。
境遇こそ不幸に晒させてしまうかもしれないが、沙耶なら本当に良い夫に巡り会えるはずだ。
俺はよく考え、沙耶にこう言った。
「……今からドライブに行かないか?
連れていきたい場所があるんだ。」
「えっ……?」
俺は訝しげな顔をした沙耶を車に押し込め、ある場所へと向かった。
たどり着いたのは丘のある公園。
妊娠中の沙耶の手を引き、丘の頂上へと続く階段を登っていく。
「はぁ……はぁ……着いたぞ。」
「……はぁ……はぁ………ここは……?」
丘の上には木が数本。
そしてベンチが1つ。
「ここは、『告白の丘』っていうんだ。」
「告白の丘……。」
「ここで街を見下ろしながら愛の告白をすれば、2人は結ばれるって伝説がある。
まぁ、高校の頃に学生の間で流行っただけなんだけどな。」
「じゃ、じゃぁ……」
俺は沙耶の目を見て強く言った。
「ああ。……沙耶、結婚しよう。
俺が死ぬまで、ずっと一緒にいてくれ。
……お前もな。」
そう言って、俺は沙耶のお腹を撫でた。
沙耶は泣き出した。
俺は焦って、沙耶を抱きしめた。
夕日が3人を照らしていた。
もうカードは使わないと決めた。
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