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そして、ついに沙耶は大口の契約を取ってきた。
俺たちは抱き合って喜んだ。
涙が流れた。
お祝いに、沙耶を食事に誘った。
高級レストランに沙耶は緊張していた。
「おめでとう。本当によくがんばったな。
今日はお祝いに、何でも好きなものを買ってやるぞ。嘘じゃない、本当に買ってやるぞ。」
俺には寿命がまだまだ残っていた。ある程度何でも買ってやれた。
だが、沙耶は……
「ありがとうございます。
……でも、何も買っていただかなくて結構です。
私が契約を取れたのは、部長のおかげですから。
いつも優しく、厳しくしていただいた賜物ですから。」
そんな風に断られるとは思ってもみなかった。
思えば、寿命カードを手にいれてからというもの、自分の思うようにならなかったことなどなかった。
沙耶は俺の傲慢な心を打ち砕いた。
沙耶は続けた。
「……それに、私の望みはお金では買えませんから。」
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