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「今年は田野下先生の最後の年なんだ。だからもう一度大きなホールで定演を開きたい。その為には、プロである武田の名前を借りるしかない。」
城さんはそう言いきった。
「でも、そんな事をしたら福工吹奏楽部の定演じゃなくなりませんか?」
「お前がOBだから頼めるんだ。定演奏は3月にやる予定だから、考えておいてくれ。」
そうやって電話は切れた。
「俺の名前をって言われてもなぁ…。」
正直戸惑いがあった。確かに俺はプロだけど、俺の名前だけでホールに人を呼べる自信はなかった。
すると今度は別の人から着信が入った。
「もしも…。」
「やっと繋がったし!タノさん今年で定年だろ!今年はレベル5の社員として、知り合いの作曲家に送別の曲を創ってもらうぜ!」
「大州、お前早口すぎ!」
俺は思わずツッコんでしまった。
「てか作曲依頼出来んの!?」
そっちのほうが本当はびっくりだった。
「あぁ。今からお前に頼もうと思ってた。」
「なにぃ!」
「だってお前の曲を自由曲にしてる団体いっぱいあったぜ?」
「そ、それはそうかもしれないけど、てかレベル5関係ねぇじゃねぇか!」
どんだけツッコませるんだよ!
「まぁ、そんなわけで、多分城さんからも話があると思うから。てか俺が城さんに話しといたから。そいじゃまた8月に!」
「ちょっと待てよ!」
しかし電話はすでに切れていた。
じゃあさっきのはそう言うことだったのか。
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