夏の始まり

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「英里…そんなこと言わないで。私がいるじゃない。それに、あいつらだってその言葉聞いたら怒るよ」 ブー…ブー… 私か葵か、どちらかの携帯が震える。 私は何処に置いたかも分からず、携帯を探す気にだってならない。 「あ、私だ。ちょっと待ってね」 着信があったのは葵らしい。 「もしもし。今?英里の所。え、今から?ちょっと待って、英里に代わるから」 私に背を向けていた葵がこちらを向く。 そして携帯を私に差し出した。 「晃平から。英里に代われって」 携帯電話を受け取り、耳を当てると、ざわざわ騒がしい街の音がする。 「…どうしたの?」 『英里?!お前、大丈夫?!携帯出ろよ!心配しただろうが!』 「ちょっと…晃平、声デカイ」 『あー?聞こえねー!お前、とりあえず今からいつもの所来い!いいな!』 ブチッ! 「ちょ、晃平!……切られた」 「晃平らしいね」 仕方ない…もう外に出られる顔でもないのに、仕方なく用意をする。 .
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