3人が本棚に入れています
本棚に追加
今までの優希の言動を思い出してみる。
あいつは隠すことが出来ないから、無意識にその子の話をしていたはずだから。
「…分かったかも」
優希が無意識に頻りに出していた名前。
「多分…茜ちゃん、って子だ」
同じ大学の、優希と同じサークルの、一つ年下の後輩。
優希はよく茜ちゃんのことを気にかけていたように思う。
私はそれが気にくわなくて、話も全然聞かなかった。
「茜ちゃん、ねぇ」
「どんな子だか知ってるの?」
「いや知らね」
こんなことになるとは思ってなかったから。
全然茜ちゃんの情報なんてないなぁ。
もうフラれた以上、どうにも出来ないだろうけど。
奪い返すなんて、きっと無理。
優希は想いを貫くタイプ。
だからきっと、もう茜ちゃんしか見えていない。
「もっと可愛く出来てたらなぁ…」
私の小さな呟きに、みんなからの返答はなかった。
.
最初のコメントを投稿しよう!