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そいつは音もなく、俺に近づいて来た。
「っ…ぅ……あ…。」
俺は後退りするが、全身の筋肉が、恐怖で萎縮して上手く動けない。
そのまま俺は自分の足に引っ掛かり、ドシンと情けない音をたてて、尻餅をついてしまった。
「?!んぁっ!!」
顔を上げると、そいつはいきなり俺の頭を鷲掴みし、持ち上げた。
地面から足が離れ、宙に浮く。
「シンサ…ハジメマス…。」
そう呟くと、目の前が眩み始めた。
ヤバイ、これはマズイぞ?!
俺はもがくが、どうにもならない。掴む力が強すぎて頭が潰れそうだ。
「く…っそ。」
そうだ…竹刀!!
俺、竹刀どっちに持ってたっけ?と考えたが、背中に掛けていることを思いだし、無我夢中で取り出した。
「当た…っれ!!」
下から抉るように振り上げる。
グゥっという呻き声と共に俺の体は解放され、一瞬の浮遊感を感じたが、そのあとすぐにアスファルトの地面に叩きつけられた。
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