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「今、パラレルワールドでは融合を始めているんだ。」
アリアは辺りを警戒しながら、俺のいる路地裏に入ってきた。
「は?融合って…。」
アリアは服に付いた土煙を払いながら、たんたんと話す。
「そのままだよ。世界が“融合”…つまり、1つの世界しか存在しなくなる、と言うことなんだ。」
言っている意味は分かる。
だが、未だに信じることが出来ない。
「そうだね。まだ信じることは出来ないと思う。でも、さっき見ただろ?あの生き物を…この静けさを。」
喉を、夕暮れの冷たい風が通る。
体では感じているんだ。
この異様な雰囲気と、底知れない不安と恐怖を…。
体中から、嫌な汗が出て止まらない。
アリアはそんな俺を見兼ねたのか、話題を変えてきた。
「皆は、ある世界に飛ばされたんだ。」
みんな…?
「ってことは、家族や鳴海もいるのか?!」
心に少しの希望が灯る。
「あぁ…。だが……、いや。」
アリアの顔に影が射した。
歯切れが悪い。
「…どういうことだ?その世界に皆は居るんじゃないのか??」
俺は立ち上がり、アリアの顔を覗き込んだ。
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