裏・ツンデレラ

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シンデレラは目を閉じて受け入れていた。その時点で俺を意識してくれているのがわかる。 「抵抗、しないんだな」 「あ、れ…。ち、違う。これはあれだ。シンデレラのせいで」 「シンデレラはノンアルコールだけど」 「じゃああの昇天だ!少し味見して酔ったんだ」 「うん」 「うんって…あの」 「ごめん…焦ってた。強引過ぎた……反省してる」 こつんとシンデレラの胸に額をあてる。 「ジーク?」 「ゆっくりでいいから。自分の中で気持ちがまとまったら、その時はいってくれ。それまで待ってる」 「うん」 「……」 「ジーク?」 「…また、誘ってもいいか?」 「え?」 「食事に」 「うん、いいよ」 「……有難う」 嫌われるのが怖かった。 自分の裏の部分を知られるのが。 猫かぶりで男が好きで、女嫌いで口悪くて……世の女性達が胸ときめかせる王子というイメージを大きく壊すそんな俺を、受け入れてくれた。 それだけでどれだけ救われたか。 シンデレラ… シンデレラ… 俺は君が思っているよりもずるがしこくて卑怯な男だ。 欲しいものは手に入れる。 何がなんでも絶対。 君を手に入れられるなら、俺は王子という役柄を捨ててもいい。金も捨ててもいい… 親が反対するなら親だって殺せる覚悟もある。 それくらいの覚悟が俺にはあった。 だってそうだろ? 最も欲しいものは何かを犠牲にしなければならない。 それと引き換えに手に入れる。 君を手に入れられるならそれらなんて安っぽいものだと思わないか? もし もし万一君の心が俺を拒絶し、受け入れられなかったら。 俺は狂って何かをしてしまいそうだ。 だから願うのはただ一つ。 シンデレラ 返事は遅くていい だけどお願いだ 俺を受け入れてくれ… 俺を愛してくれ 俺の側にいてほしい じゃないと俺は狂ってしまう 深い眠りの中、俺の汚い心の部分を知るはずもない誰かが、まるで『大丈夫だよ』と安心させるように、温もりある何かが額に微かに触れた。 柔らかく、どこか熱があって… 「…ん…シ…?」 「……」 そう、それはまるで愛しい彼の……… END.
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