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昔々、ツンデレ……いや、シンデレラという可愛らしい少年がいました。父亡き後、継母と姉達にボロ雑巾のようにこき使われているシンデレラは、今日も家の中をモップで床を綺麗にしてました。
「ツンデレラ……ツンデレラ!!ここ、埃がまだついていてよ」
「うわー汚~い」
「およしなさい二人共、ツンデレラは男の子なのよ。掃除の仕方なんてわからないのだわ」
それは姉達と継母のいつもの嫌がらせな言葉、一緒に棘を含んだ言葉をシンデレラに突き刺す。
本当はそんな三人に今直ぐ怒鳴って殴りたい気持ちだったが、そんな事をしたらこの家を追い出される。追い出されたらシンデレラには住む所がなくなってしまうのだ。だから我慢するしかない。
何を言われても黙ってモップを動かす事しか出来ないのだ。
……でも…
「…お姉様にお母様、ツンデレラじゃなくてシンデレラです」
流石に名前を馬鹿にされるのだけは許せなかった。亡き父・母が付けてくれた名をツンデレラという意味分からない名を勝手に作って、呼んで…………
でもその名には意味があったのだ。
「だって貴方、いつもツンツンしてるじゃない。だから、ツンデレラよ」
「ツンデレラ…、なんて素敵な響きなの。ねぇお母様」
「そうね、とても愛らしい名前だわ」
「……どこが」
「あら?何か仰って?」
「いいえ、何でもありませんお母様……」
シンデレラは何度目かの溜め息を吐いたのだった。
朝から晩まで、食事と風呂と就寝以外はひたすら家事と清掃を毎日休まずしている。
姉や母は反対に自由にテレビを観たり出掛けたり金を使い放題、面倒な事は全てシンデレラに頼む始末。
これじゃあ家族というよりは、使用人…いや、それ以下だ。
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