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「あら?ツンデレラ、帰ってたの?」
そこでようやく継母達が気づく。
『遅いクソババァ』と心中叫びながら、シンデレラは小さく頷いた。
「何やらお姉様達、ウキウキしているようだけど、どうしたんですか?」
「あら?ツンデレラ聞きたい?まぁ、どうせツンデレラは行けないから教えてあげるわ」
“聞くだけはタダですからね”と高笑いを上げながら、長女の姉がポケットから白い紙に薔薇の絵が刻まれたものを見せてきた。
「…これは?」
「招待状よ!招待状~」
「王子様の妃を決める為に舞踏会が開かれるの。その招待状よ」
「もしかしたら王子様と踊れるかもしれないんだから♪」
「へー…」
あまり興味なさげな反応をした。だって興味がないのだから。
まぁ、女だったら王子様と踊れたりお会いすれば嬉しいかもしれない。でも、シンデレラは男。
そんな所にもし行ったとしても、すぐ飽きて即帰るのがオチだ。でも、この国の王子は、一度も見た事ないから、どんな顔かは拝見したいと好奇心はある。きっと王子様だから、我が侭で偉そうな奴に違いないとシンデレラは思った。
「って事だからツンデレラ、シチューは残念だけどいらないわ」
「一人で食べててね。私達はシチューなんかよりも超高級食材を味わってくるから♪」
「ついでに王子様がどんな方だったのか、土産話でも期待してなさい」
間もなくして、姉と母は招かれた城へと向かった。
家に一人ぼっちになったシンデレラは買ってきた材料でシチューを作り、一人寂しく食べる。これで何時間かは煩い姉達に解放されると嬉しさ一杯だったシンデレラだが少しだけ苛立ちが走った。
「…なんだよ、せっかく材料買ったっていうのに、いらないって…?自分達は城へ行って豪華な料理を堪能だと?…ふざけるな」
シンデレラは悔しかった。
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