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「俺は……好きだ。シンデレラ…」
「っ」
「会った瞬間から…気付いてた」
「何を?」
「君が男だって」
「え!」
「なんとなく、だけど」
「……」
「俺……女が、苦手なんだ」
「え」
「昔から女の汚い部分を見せられたせいか、生理的に受け付けられなくて…な」
「……」
「男が…好きなんだ…俺」
「……」
「かといって本気で人を好きになったのはシンデレラだけなんだ…だから」
「ジーク」
「……引いたよな」
「……びっくりはした」
「そう、か」
自分が男を好きなゲイだとカミングアウトするのは凄い勇気がいる。
しかもそれだけじゃなく…
「夢壊すようで悪いけど、俺、全然王子様らしくないんだ。結構裏表激しいし、表向きのは全部演技なんだ。正直、誕生日パーティー、あまりの嫌気に途中で抜けようとしたくらい…」
「そう、だったんだ」
「だけどシンデレラに会って、そのパーティーもまんざらでもないって思った」
酔っている。恋人になるには…いや、仲を深めるには手順がいる。
なのに…俺は無意識に彼の手を握っていた。
「あ、あの…」
「好きだ…シンデレラ…俺とずっと一緒にいて欲しい」
「……俺、まだわからな…」
「どうすれば好きになる?どうすれば一緒に」
「お、落ち着けって」
「お客様」
「俺は…俺が王子じゃなかったら…こんなに…俺、は」
「ジーク?」
「お客様」
ああ…かっこわりぃ。
久し振りに度数高いのを口にするんじゃなかった。
俺は情けなくカウンターテーブルに突っ伏すように意識を失うのだった…
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