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ひやりとしたものが頬を触れる。
目を開けると見慣れない天井。そして起き上がろうとすると鈍い頭痛が襲ってきた。
「いっ」
「大丈夫か!」
「シンデレラ…ここは」
「俺の家」
「……」
「安心して。今俺しかいないから」
「そう、か…かっこ悪い所みせてすまない。重かっただろ」
「まぁ……大変だった」
「すまない」
「謝るなよ。それよりはい、水」
「……」
「ジーク?」
「正直あのバーでの事、途中から覚えていないんだ。何かいったか?」
「どこまで覚えてないの?俺っていったのは?」
「!俺っていったのか!」
「え、うん」
「……最悪だ」
記憶にない。
覚えているのはシンデレラに昇天少し飲ませ、自分も飲んで、それから料理が運ばれた所までだ。
それ以降は覚えているのかいないのか曖昧で。
まさかアルコールで記憶を飛ばすとは思わなかった。
「……かっこ悪い」
「そうかな」
「ああ、かっこ悪い。ドン引きだろ?幻滅だろ?」
「そこまで…。確かにびっくりしたけど全然普通。むしろこっちのジークのが好きだけど」
「…え」
「家に連れて行く間…ジーク寝言で俺の事ばっかいってて、恥ずかしかったんだけど……正直、まだ自分の中でジークをどう思っているのかわからないけど…でも、こんなにも想われているのって……なんていうか、嬉しかったんだ。俺を必要としてくれる人がいるってわかったら…凄く…嬉しかった」
「シンデレラ」
「俺を必要といってくれて有難う」
「シンデレラ…」
恐る恐る頬に触れる。
シンデレラの頬はまだどこか火照っていた。
「キスしたい」
「え!いや、だから俺はまだジークをそういう風に思っているのか不明で…」
「じゃあ抵抗していいから」
「じ…」
微かな柑橘系の香りがした。
甘い味がした。
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