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しかし、たとえそうでも何故その魔法使いがここにいるのか、わからなかった。
「…なんで……ここに…」
疑問に思った事を思わず相手に問いかける。
『……貴方が私を呼んだ。だから来たのよ』
「……俺が、…呼んだ?」
『そう、貴方には願いがある……それを叶えにきた』
「…願い…」
『えぇ、貴方の願いは何?』
「何って急にそんな…」
『ついさっきまで言ってたじゃない。城に行きたいと』
「そ…れは」
確かに願ってた。城に行きたいと。…自分達だけ楽しむ姉達がずるいと……確かに思った……思ったけど…
「本当に、願い…叶えてくれるの?」
『えぇ、でも…いいの?そんな簡単な願いで』
「そんな…簡単なんて、城に行けるだけでも俺にとっては贅沢です」
『…わかったわ。それじゃ目を綴じて』
シンデレラは言われた通りに目を綴じる。
そしておばあさんは杖を振り上げ、何か呪文を小声で唱える。それは何を言っているのかわからない不思議な……どこの国にもない言葉だった。
『…さぁ、目を開けて』
言われた通りに目を開ける。すると、自分の姿にぎょっとしたのだった…
そう、この魔法使いのおばあさんとの出会いが俺の人生を変えた全ての始まりだったのだ。
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