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魔法とは何か、それを訊かれたとするならば何と答えるべきか。神の定めた聖なる法や、仏の示した仏法に対し、同義に反した邪なるもの、即ち悪魔の法と思う人がいるとは容易に想像がつく。だが果たしてそれが正しいのだろうか。
俺はそうは思わない。魔とは鬼を囲っているが、元来鬼も神である。麻を被った鬼が麻の七五三縄に囲われた神と同列だとするならばどう考えるか。
要するに、魔もまた神なのである。
世に神業という言葉もある。神が為した業、即ち人智を超えた奇蹟、それに例えられるような事象である。魔が神と同じならば、魔法は神業と何ら差などない。詰まる所魔法は超常の技能の事であろう。それが俺の思う魔法なのである。
斯く言う俺も、魔法を操る事は出来なくもない。否、言ってしまえば可能の範囲も広いものである。ライターなくして火を点け、触れぬ物を動かし、宙を舞う事ですら難なくこなせる。
もっとも、俺の場合は可能性を広げる為の研究はあまり行わない。寧ろ今出来る術を如何にして活用するのか、その技の行使の追求の方が大きいくらいである。巷では魔導士という言葉もあるが、俺には大それた言葉である。ただ使い方の方に長が傾いている自分自身は、こう呼ぶのが精一杯である。
――“魔法技師”、これこそ自ら辛うじて名乗る事が出来る唯一の呼称であった。
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