現世の魔法技師

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あれから幾年か過ぎた。俺も今や大概の魔術は使いこなせるようになった。詠唱も自在、言語の壁もとうに取り去っていた。今の俺ならば、雪に埋もれたあの二人だって助けられただろう。 ただ、心の傷はあの時のまま少しも塞がる気配を見せない。時折あの二人の凍死した姿を思い出しては、何故あの時二人を助けられなかったのか、と自分を責め続けた。時には自らに発した殺気で気が狂いそうにもなったりした。そして冷静になってみれば、二人が生き返るでもなしに何を無駄な事をしていたのか、と相も変わらず自分に嫌気がさすのであった。 そして、今度は俺自身がこの世界から消える日が来てしまったのである。
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