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まあ、そんな修羅場めいた空気も放課後には解け、私は家に帰る途中でいた。
「いきなり大変だったね」
偶然道が同じで、次に話しかけてきたのは西野さやだ。
さやはウェーブカットがよくにあってスマイルが輝かしい。
「ああ、あれは一体なんなんだ?さすがにびっくりしたぞ」
「女子校だからじゃない?」
「そうなのか?」
確かに同性にモテてしまう身で、女子校を選んだのはある意味間違いだったか……。
しかしだ。
通学しやすい距離、学力的無難さ、制服のデザインの良さと、素晴らしいポイントは十分にあった。
飛び付きたくなるのも仕方ないだろう?
「ねえレン、私は思うのよ。アレな目的でわざと女子校を選んだ子が決行いるんじゃないかって」
「アレとは、やはりその…」
「そ、同性愛よ。女しかいない、男という邪魔のない場所でならいける、なーんて考えの子が偶然私達の学校に集まっちゃったのよ」
「ふ、ふむ。実際に私は散々囲まれてしまったし、確かにそうなのだろうな」
「そうよ?レン。私も君狙いだもの」
「え?おい!さやさん」
さやはいきなり抱き付いて、私の胸に顔を埋めてきた。
「やっぱり、レンの胸は中々あるわね」
頬をすりつけ、腕で体を強く締めてくる。
「おい、ちょっと……」
「ふふっ、ゴメンね?でも、ここじゃ女も狼よ」
さやは妖しい笑みを浮かべて駆け去っていった。
いやはや、いきなり抱き付いてくるとは、確かにさやはとんだ送り狼だ。
って、私が食べられる側なのか?
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