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黒のストレートロングを揺らしながら教室に入ってきた、女性。
彼女が郁を呼び出した張本人、菊地神楽(キクチ カグラ)先生。
「今日は呼び出しちゃって悪かったわね。座って?」
彼女は、校内でも有名な美人教師で、生徒はもちろん、教師陣からも人気が高い。
噂によると、郁の担任である長谷先生と付き合ってるらしい。
「何で呼び出されたのか、わかる?」
郁が自分と向かい合うように座った事を確認し、菊地先生が話し始める。
「授業中の居眠りでしょう?」
郁は、正直に答える。
菊地先生は、その答えにクスクスと笑う。
「なんで笑うんですか?なんか変な事言いましたか、わたし。」
「いいえ。あまりにも正直だからおもしろくて。」
「…居眠りしてしまって、スミマセンデシタ。
以後、気を付けます。さようなら。」
外も暗くなり早く帰りたい郁は、早々に切り上げようと、自分がした事へのお詫びを言い再び鞄を持ち上げる。
「待った。まだ話しは終わってないし、私が呼び出した本題はそれじゃないわ。座りなさい。」
菊地先生はクスクス笑いを止め、有無を言わせない口調で郁に命令した。
その迫力に郁がまた席に着くと先生は満足そうな顔で続ける。
「私ね、あなたの事が好きみたい。もちろん恋愛感情として。だから、私と付き合って?」
「 はぃ? 」
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