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コンコン。
穏やかな空気を破り、従業員控え室の扉を叩く音がした。
白とミーシュの二人は同時に扉へと視線を向け、ミーシュが来客を迎えに席を立つ。
「なんでしょう」
「おや、休憩中でしたか。これは失礼を」
開けた扉の向こうに居たのは国王お抱え研究員の、カイザーと云う背の低い男だった。
それなりに特別待遇な筈だが身なりの汚さ故、ミーシュはその男に対してあまり良い印象を持っておらず、自然と対応も冷たくなる。
が、男は全く気にしていないようだった。
「メイド長に頼みたい事がありまして。
食事中に申し訳ないのですが、また残骸の処理をお願いしたいのですよ」
「……」
ミーシュは沈黙を守る。彼の研究で出る残骸の処理と言えば何度か任された例のアレである。下働きの自分に断る権利は無く、また仕事とは云え気分の良いものではない。
部屋に広がる美味しそうな匂いと、テーブルの上のオムライス。そしてスプーンを持ったままの白に、カイザーは全力で良い人を装って話しかける。
「彼は新しい執事さんですか?そうですねェ…彼が良い。いつもの場所に置いてありますから、お願いします。
執事は辛い仕事もありますからねェ、大変でしょうが、頑張って下さい」
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