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「……はい」
白は素直に返事をした。自分の留学する前からこの研究員は城で働いていたのだろうか。自分の家であるのに知らないことの多さに衝撃を受けつつも、執事として初めて任された仕事である。頑張ろうと云う気になっていた。
「それでは、失礼しますね」
ミーシュの苦虫を噛んだような表情に気付いている筈のカイザーは、笑顔のまま扉を閉め去っていく。
短い時間で弟のようだと感じ始めていた相手に、仕事の内容をどんな顔で伝えれば良いのか。しかし自分が白を執事として城に招き入れたからには、シッカリ働いて貰わなければならないのだ。
「……おねえさん?」
「うん、」
深く考え込んでいた自分に、白が不安げに声を掛ける。ミーシュは微笑むのが精一杯だった。
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