オレ+ドレ

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自慢ではないが、この俺様、神宮寺隼人は完璧人間であると言っても過言ではない。 頭脳明晰。 容姿端麗。 運動神経抜群。 世界有数の資産家の御曹司。 若年にして既に会社の経営コンサルタントも務めている。 etc...etc... と、このように、そこらにいる凡夫とは比べものにならない程の圧倒的高スペックを有している俺様を、厚かましくも言葉で表現するのであれば、まさに『完璧』の一言に限るわけだ。 嗚呼、我ながら怖い。 自分のこの完璧さが怖い。 ここまで完璧を極めた人間が、未だかつて人類の歴史上に存在しただろうか。 否。 俺こそが、完璧。完璧の体現者。まさにパーフェクト。オールパーフェクト。 ――さて。 「――そんな完璧人間である俺様に足りないものは何だと思う? なぁ、谷村よ」 「知らねっスよ」 場所は、神宮寺邸の我が自室。 俺様の専属メイドこと谷村は、壁に背を預け、煙草をふかしながら素っ気なく答えた。 「……ふん。相も変わらず、雇い主を前にしているとは思えない態度だな。実に良い度胸をしている」 「まぁ、これがあたしのデフォっスから。つーか、そういう坊ちゃんこそ、相も変わらず自分で自分を褒めちぎって、恥ずかしくないんスか?」 「愚問だな。俺様はただ事実を口にしているに過ぎない。一体何を恥じることがあるというのだ」 「成程、普段から生き恥を晒している男に、最早怖いものはないと」 「気のせいか? 激しく馬鹿にされた気がしたんだが」 「気のせいスよ。馬鹿にしてるんじゃなくて軽蔑してるだけっス」 む。そうか、気のせいか。ならいい。 納得したところで、俺様はコホンと咳払いを一回。 「それよりも話を戻すぞ」 「んじゃ、あたしは部屋に戻りますわ」 「待て」 当然のように背を向けた谷村に向かって、慌てて制止の言葉を投げかける。 「何故このタイミングで去ろうとするのだ愚か者」 「だってあたし、長話とか大嫌いなんスもん。特に坊ちゃんの」 「手短にまとめる。だから話を聞いていけ。命令だ」 「ッち」 露骨な舌打ち。 こいつは本当に使用人としての自覚があるのだろうか。 まぁいい。 谷村の態度に一々反応していては一向に話が進まないからな。image=495759965.jpg
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