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ある日の夕餉時、突然お父様がこう言った。
「姫のお婿さんが決まったんだよ」
あまりも突然の出来事で私は
「ふぇ?」
と変な声をだし、思わず煮物に手をつけていた箸をカランと落としてしまった。
「まぁ、姫ったら、箸を落として行儀が悪い」
隣で、お母様は私を窘めたけれども、正直それどころではなかった。
「お・・・お婿さんって・・・どういうことなんです?」
「え?どういうことといってもな・・・うん、そうだな、姫の将来の夫になる人が決まったということかな」
なんて、お父様は的外れた答えを返してきた。
「そういうことでありません。一体、何故、急に、そんな話が持ち上がったのですか!!」
キッとお父様を睨みつけて私はそう言い寄った。
顎に手をやりながら、お父様は
「何故って・・・姫ももう14だ。婿がいてもおかしい時期でないだろ」
と言った。
確かに、お父様の言うことは間違っていない。
間違っていないけど・・・
「・・・勝手に決めるなんて・・・・・・ひどいわ」
「姫・・・・・・」
お父様は少し困惑したような顔で私を見ていた。
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