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「・・・でだな、義高については、本当に良く出来た息子だと聞いているよ。義高は詩歌管弦の道に優れているばかりか、武門の道にも通じていて、特に弓の腕前は大したものだとか。」
「ふーん」
「姫、ふーんって・・・。あっ、そうだ!!義高は容姿も美しいと聞いているよ。なんでも、春青柳のしだれ桜、桔梗、秋の月など、容姿を褒め称える言葉がたくさんあるくらいらしい。」
「あら、そう」
「・・・・・・。なんか、興味なさそうだね・・・。普通、こんな良い話聞いたら、少しは心躍るもんじゃないのかな・・・。」
興味ね・・・。
元々、親同士が勝手に決めた婚約話だし、興味なんてないもの。
それに・・・。
「その話って所詮は噂話なんでしょ?容姿が美しいって言ってるけど・・・・・・あの、おじ様の息子でしょ。だったら、無骨でムサいに決まってるわ。」
「・・・・・・いや、姫。男の子は母君に似るというしね?」
そうは言っても、そんな優れた人がいるなんて、有り得ないわ。
だって、『天は二物を与えず』って言うじゃない。
だから、きっと、お父様は私が婚約を承諾するように、作り話をしているんだわ。
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