お化け屋敷と見えない少女

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橘「柊、聞いたか?」 柊「聞きたくない」 橘「そういう返しはいらないから」 柊「ちっ、なんだよ?」 橘「ちょっと前からお化け屋敷に最近出るって噂の幽霊。通称、お化け屋敷の少女」 柊「うわ、くだらねぇ。オマエまさか信じてんの?」 橘「え、お前信じてないのか? 見えんだろ?」 柊「噂があるからって本当にそこにいるとは限んねぇだろうが。むしろ、滅多にいない」 橘「そんなもんなのか?」 柊「そんなもんなんだよ」 橘「そんなもんなのか」 柊「そもそもお化け屋敷って……その小学生がネーミングしました的なだっさい名前は」 橘「さぁ、噂なんてだいたいそんなもんだろ?」 柊「そんなもんか?」 橘「そんなもんだ」 柊「そんなもんか」 「橘、カラオケ行かねぇ?」 「ちょっ! なに橘くん誘ってんの!」 「だってお前、あいつのこと……」 「あーあーあーあーあーあー!! 聞きたくないー!!」 「よし、その話し詳しく聞こうじゃない」 橘「なに騒いでんだ、あいつ等」 柊「ほれほれ、とっとと行け。オレはもう帰る」 橘「お前も行こうぜ。この前、思った以上に上手かったってみんな言ってたぞ?」 柊「褒められてないことはわかるんだぜ、橘くぅん」 橘「ははっ。冗談、冗談」 柊「ちっ……」スタスタ 橘「死神さんによろしく言っといてくれ」 柊「死神に、お前が殺されたいって言ってたと伝えとく」 橘「どう曲解してそれに行き着いた!?」 柊「じゃあな」ヒラヒラ 「あ、柊は帰っちゃったんだ?」 橘「今日は外せない用事があんだと」 「最近あいつ人付き合い良くなったからなー」 「ってか、案外普通だったな。たまに妄想と会話してるけど」 「それがなければそれなりに需要ありそうな……」 「「「いや、それはあり得ない」」」 「うお、女子が稀に見せる奇跡の一致団結!?」 橘(俺があいつは本当に見えてるって言ったけど、流石に誰も信じなかったな) 橘(柊はそれが当然だし、別に構わないって言ってたけど……) 橘「はぁ……」 「た、橘くんどうしたの? カラオケ行きたくなかった?」 橘「あ、いや、そういうんじゃないから気にしないでくれよ。ごめんな」 「う、うん」 橘(まぁ、いつの日か認められるように俺もいろいろやってくしかないか)
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