1話 始まりの掲示板

5/5
前へ
/103ページ
次へ
 ルーシェは再びソファーに寝そべった。  狭い部室を、さらに狭くしているこのソファーはルーシェの指定席だ。 「……ルーシェは完璧なインドア派だし、闘争心なんてものは持ち合わせていないよね」 「持ってないねぇ。あっ、かなりどうでも良いことなんだけど、インドア派って、“ア”を抜いたらインド派になるね」  本当にどうでも良かったのでスルーした。 「他には?」 「ええっと、《神隠し》がすごく流行ってるらしいね」 「《神隠し》って、神様がそんなめんどくさい事しないと思うけどなぁ」 「えっと、そうじゃなくて、“理由も無く突然消える人”が増えているらしいよ」  もともと、魔界で行方不明者は少なくないけれど、最近はその数が増えてきているらしい。 「ふーん。それなかなか面白そうだね。とは言ってもあと2日で調べられるかな?」  2日と言うのは次の新聞の提出期限だ。 「やってみないとわからないよ。とりあえず、掲示板で《神隠し》についての情報を集めてみるね」 「おねがーい」  そう言われ、掲示板に『特に神隠しの情報を求む』と書き込んだ。  この(神隠し)が大きな騒動に繋がるなんて、知る由もなかった。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加