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駅のある街の中心から少し離れ、よくある場末の商店街の通りを抜ける。
すると
名探偵事務所というかすれた字が見えて来る。
「名」探偵なんて自画自賛な自己PRは事故PRだ。
漫画や小説でも題名にこそ使えど自分で「名」探偵と名乗るキャラクターは大概ギャグ要員である、と思う。
大概、現実ではただの、見てて痛々しい人物である。
なにやらその痛々しい人物がおもむろに語りだした。
「あるところに、おじいさんとオバマさんがいました。
オバマさんには頑張って欲しいものです。
ただし、このお話には一切関係ありません。
語呂が良いから言っただけです。
おじいさんは金と女に滅法弱いどこにでもいる大泥棒で、齢六十三にして現役の小汚いながらもエネルギッシュなおじいさんでした。
職業は泥棒です。この快盗じじえもん(痔治餌悶)には警察ですら手も足も出ません。
ライバルがおりました。
それはもう背がスラッとして目鼻立ちは、モデルと見間違うほどの美男子ぶりで街を歩く度うら若き乙女がみな群がってくる程の男です。
…そう…何を隠そうこの俺がその名探偵ってわけです。
なので俺にかかれば大概の事件はちょちょちょいのちょいですってもんです。」
と、依頼者に向かって三段論法の面倒な大見え切ったのは他でもない。
所長だ。
というか冒頭で出て来た痛々しい阿呆である。
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