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「中世の騎士のように紳士で真摯な私が忠誠を捧げお守り差し上げます。」
この麗人にさながら西洋の名作映画のワンシーンを彷彿とさせるかのようにひざまずく。
その御手にキスをしようと口を近付ける…
次の瞬間
バキッという音とともに私は部屋の壁に頭、というかその半身をぶつけていた。
「嫌ですわ。
もう、みなさんご冗談がお好きなようでらして、おほほ。
警察呼びますよ。」
などと笹川さん、もといササッピーは口元を手で押さえ笑っている。
やべえ超かわいい。
クラクラする。
あれ?
でもなんかおかしいぞ?
なんで俺倒れてるんだっけこんなところに?
「いやあ驚きました。
二、三メートルは吹っ飛んだじゃありませんか?
いやあ人は見た目によらないとはまさにこのこと。
意外と力が有るんですね。
私もぶっ飛ばされないように気をつけないと。
なんちゃって。」
所長がなにやら話している。
何を気をつけるというのだろう?
あれ?
なんかだんだんクラクラがなくなって…?
代わりにズキズキと痛みが身体のあちらこちらに……
ああ、なるほどクラクラしてたのは笹川さんが美人ってだけでもなかったようだ。
超痛え…もう泣きそう…。
まあしかし、これでも私は鍛えている。
街中にはびこる悪と戦うために。
時には図々しくも事務所の中にまで侵入してくる恐ろしい魑魅魍魎。
というかゴキブリとの戦いに日夜明け暮れているからだ。
その私を、不意打ちとはいえこうもぶっ飛ばすなんて。
流石は我が麗しの姫君。
見た目には深窓の令嬢だと思ったけど。
でも、そのギャップが逆に好みだ。
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