これが、めいたんてい。

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「いえね、ちょっと気になる事がありまして」 「気になる事…ですか? 」 笹川さんが聞き返す。 「さっきチラッとお聞きしたところだと、何でもそのわんちゃんは家の中で飼っているとか。 散歩に出るような事はなく、つい三日程前から姿が見えないとの事でしたね。」 所長はその骨張った手で軽く拳を握って細長い指を擦り合わせるようにしながら顎を触って少し考えるようにしている。 ってあれ? 迷子犬てもしかして家の中で迷子になったのか? いやいやいや笹川さん半端ない金持ちなんじゃないか、っていうかそんな大事な話をどうして俺は聞いてなかったんだ! 確かに記憶力はないけども! ああごめんなさい、そういえば笹川さんに見とれてました! 「で、まあもし本当にただの迷子なんだとすれば別に構いません。 ですがもし違ったら…」 所長が勿体振る。 「違ったら、とおっしゃいますと?」 「もしこれが迷子ではなく身代金目的の誘拐で、実はあなたを狙ったのに間違えて犬をさらっちまったんだとしたら! これは大事件です! いやあ腕がなるなあ!」 ずびしっ!! そんな所長に右ストレート! 思わずパンチをかましてしまった。 「途中まで結構、おお流石探偵を伊達に名乗ってないな。 探偵探偵してみえるぜ! とよく解らない感嘆の意を持って話を聞いていたのに、なんだその笹川さんと間違って誘拐って。 人間と犬を間違えるのなんてアンタくらいだ!」 と思わずツッコミをいれてしまった。 それもよりにもよって笹川さんを犬と見間違えるとは本当に馬鹿!? 崩れた所長の頭めがけてハリセンをたたきつける。 対ゴキブリ用ハリセン 通称エクスカリバー。 所長が趣味で作ったものだが、丸めた新聞紙に取って代わる事は出来なかった。 専らツッコミ用になっている。 「あいたたた… 全くひどいなあ顔面に格好よく右ストレートかましたところで続けざまにハリセンかよ 一応これでも所長だよ僕? 上司だよ僕?」 と、頭をさすりながら立ち上がり痛がってぶうぶう文句を言っている。 「確かに、上司に対しては僕ももう少し慎むべきなのかもしれない。 駄菓子菓子、だがしかしあえていおうカスであると! アンタ話を混乱させて楽しんでいるだけだろっ!」
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