交際

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翌日の帰り道、心結はもちろん拓哉と一緒だった。 そして心結の手は当然のように拓哉の手と繋がっていた。 「こうやって帰るのもいいもんだな」 拓哉がぽつりと言った。 「今までだってこうやって帰ってたんでしょ?」 「誰と?」 「誰とって、草壁君の彼女に決まってるじゃない。草壁君は今まで何人の人と付き合ったことがあるの?」 心結の問いに拓哉は眉間にシワを寄せ、暫く考えたあげく出した答えが、 「うーーーん、忘れた」 だった。 「忘れるくらいたくさん?そんなにモテるんだね~、やっぱ凄いんだ草壁君て!」 心結が感心ながら何度も頷いた。 「・・・そうでもないよ」 そう呟く拓哉の手から、心結は一瞬ビクンと震えが伝わってくるのを感じた。 草壁君? 驚いた心結は、思わず拓哉を見た。 けど拓哉は平然とした様子で、真っ直ぐ前を向いて歩いている。 なーんだ気のせいか。 心結はそれ以上気にすることなく、すぐに視線を戻した。
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