交際

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「メモって・・・」 ひどく驚いた拓哉の目が点になっていた。 そんな拓哉に対し、心結は得意そうに言った。 「小説の資料集めだよ。せっかく草壁君が協力してくれるんだもん、一語一句忘れないように書き溜めておかなくちゃね!」 急にヤル気を見せ始めた心結。 それもその筈、心結は次の新作の準備を密かに進めていた。 新作はもちろん恋愛小説。 だから拓哉との会話に油断は禁物だ。 「他にもほら、これも用意してるんだ」 心結はかばんの中からメモ帳を取り出し拓哉に見せた。 「へぇーーー、随分ヤル気になったんだな」 拓哉は感心しながら、携帯画面を見る心結を、うれしそうに見つめていた。 そして、スッと心結の前に歩み出ると、 「じゃあ今度は俺から質問。俺たちにはまだに足りないものがある。それが何か分かるか?」 私たちに足りないもの? なんだろう? 心結はケータイを顎にあて、頭をひねった。
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