真実 *

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*  *  * 「おっ、いたいた!」 廊下を歩く拓哉を見つけた二人の生徒が、慌てて駆け寄って来た。 拓哉のクラスメート、乃木京一郎(のぎきょういちろう)と西川恵介(にしかわけいすけ)。 二人は拓哉が唯一心を許せる親友だった。 中学までは別々の学校に通っていたが、高校で出会った途端ウマが合い、すぐに仲良くなった。 そんな二人は、昼休みに突然いなくなった拓哉をずっと探していたようだ。 「ったく、どこ行ってたんだよ」 「別に」 「別にっておまえ・・・。って言うか、どうしたんだよ、その顔、何かあったのか?」 拓哉の異変に気づいた京一郎が、驚いて尋ねた。 けれど拓哉からは、 「別に」 と、同じセリフしか返ってこない。
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