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「じゃあ行こうか」
拓哉はそう言うと、一人スタスタと歩き始めた。
が、しかし───
「おいおい!!どこ行こうってんだよ!音楽室はこっちだろ。しっかりしろよ!」
拓哉の行動を見兼ねた恵一が、拓哉の肩をガシッと掴んだ。
ようやく音楽室に向かって歩き出した三人。
拓哉の表情だけは、光を失ったように暗いままだった。
* * * *
昼休みの音楽室───
京一郎は早速ギターで自作の曲を弾き始めた。
音楽室に響くギターの音色。
京一郎の自信満々の表情に、恵介も満足そうな表情を浮かべ聴き惚れていた。
けど拓哉だけは違っていた。
ムスッと踏ん反り返りながら京一郎の前に腰を掛け、虚ろな目を泳がせていた。
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