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裏庭で心結を待つ拓哉は、決して冷静ではいられなかった。
俺は自分の気持ちを確かめたくてここへ来ているだけ。
山野に会いたいからじゃない。
拓哉は何度もそう自分に言い聞かせていた。
けど心のどこかでは、
心結に会いたい!
心結が好きだ!
と、本当の気持ちに気づいていた。
それなのに、拓哉はその気持ちをすぐに認めようとはしなかった。
正確に言えば、しなかったのではなく、認めるのが怖かったのだ。
それもその筈───
拓哉はかなりのイケメンで、結構女子の間では人気がある男子だった。
告白された経験もあれば、付き合った経験もある。
でも拓哉自身、告白した経験は一度もなかった。
つまり拓哉は、自分から女の子を好きになった経験があまりなかったのだ。
だから拓哉が戸惑うのは無理もなかった。
それなのに───
拓哉の心結を想う気持ちは日を追うごとに強くなっていくばかり。
心結への想いで拓哉の心は埋め尽くされていった。
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