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「だろ?俺もそう思ってた!あいつさー、中学の時は眼鏡だっただろ。最近コンタクトに変えたのかな。すんごく可愛くなったよ」
恵介は顔をニヤニヤさせながら答えた。
京一郎と恵介は心結と同じ中学に通っていた。
だから心結の過去を知っていてもおかしくない。
けど、拓哉だけ何も知らないことが癇に障ったようで、拓哉は急に不機嫌になった。
ちぇっ何だよ!自分たちだけ知ってますみたいな顔しやがって。
俺だっておまえたちの知らない山野を知ってるんだぞ。
それに俺の方が先に可愛いって思ってたんだからな。
拓哉は腕を組み、うんうんと頷いた。
「山野ってさー、結構人気急上昇してるらしいぞ。他のクラスの奴が言ってたし」
「いいぞ山野は。きっとまだあいつ男と付き合ったことないだろ?経験ゼロだぞ」
「中学の時もそんな話聞いたことなかったよな。そのうち誰かに告られちゃうのか?誰かに食べられちゃうのか?へへへっ」
なんなんださっきから黙って聞いてりゃ!
言いたい放題言いやがって!
誰が告られるって?
誰が食べられるって?
拓哉の目つきが急に険しく変化した。
「おい、無駄話するんなら俺は行くぞ!」
拓哉は声を荒げると、不快感を露わにした。
「ああ悪ィ悪ィ」
慌ててギターを弾き始めた京一郎。
けどギターの優しい音色も、今の拓哉の心にはまったく届いてはいなかった。
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