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6時間目の授業も、心結が落ち込んでいるだろうと思うと、拓哉は気が気でなかった。
しかし今さら返すこともできず、どうやって心結に返すかを必死に考えていた。
この携帯を返すのをきっかけに、なんとか心結に近づきたい。
そんなひそかな思いを抱いていた拓哉。
不純だとも思ったが、何事もチャンスに変えなければ意味がない。
そんな中、6時間目の授業が終わり、ようやく放課後となった。
すぐに帰ろうとする拓哉を、一人の生徒が訪ねてきた。
「草壁先輩いますか?」
拓哉の名前を呼ぶのは1年の女子。
「おいモテ男君、今度は一年の女子をいただいちゃうのか?」
京一郎が横からニヤニヤしながら冷やしてきた。
「ここにいるぞ!」
返事をしない拓哉に代わり、恵介が拓哉を指差した。
すると、1年の女子は恥ずかしそうに拓哉に近づき、持っていた手紙をすっと両方で差し出した。
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