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1年のクセに大胆だな。
拓哉はそんなことを思いながら、差し出された手紙を受け取った。
「じゃあ後はよろしくお願いします」
1年の女子は頭を軽く下げると、恥ずかしそうに教室を出て行った。
「おい拓哉、早く読んでみろよ!」
恵介に急かされ、拓哉は手紙を取り出し読み始めた。
その横で、京一郎と恵介は悶々とした時間を過ごしていた。
***
「なんて書いてあったんだよ?」
手紙を封筒に戻し始めた拓哉を見て、恵介が尋ねた。
「サッカー部の部室横に来てくれってさ」
「もうっ!拓哉ちゃんってばモテるんだから~」
恵介が羨ましそうに言えば、
「ちぇっ、いいよな拓哉は。いくらでも女の方から言い寄ってくるんだもんな」
と、京一郎は悔しそうに口を尖らせた。
すると恵介が───
「なに言ってんだよ京ちゃん!京ちゃんには『隆子(たかこ)ちゃん』ていう、可愛い彼女がいるだろ?俺なんてさー、ホント一人で淋しいんだからな!」
と、悲痛な叫び声を上げながら泣きマネをして見せた。
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