告白 *

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「あーーー、悪いけど俺、好きな人がいるんだ。だからゴメン無理」 「・・・・・」 拓哉の期待ハズレのセリフに、紗千はがっかりした様子で肩をすぼめた。 そして黙って下を向いたまま、小さく肩を揺らし始めた。 「じゃっ、そう言う───」 「でも草壁先輩は、この前彼女とは別れたって聞きました。その彼女のことがまだ好きなんですか?」 紗千は必死に拓哉を繋ぎ止めようと、拓哉の言葉を遮った。 「違う、また別の女」 「もう付き合ってるんですか?」 「まだだけど・・・、多分そうなる・・・かな?」 拓哉は目を泳がせながら、口から出まかせを言った。 しかし、拓哉は常に有言実行するタイプ。 心結に携帯を返すのをきっかけに付き合う計画をたてようとするのだが、大崎先輩の存在が邪魔をしてなかなか計画が前に進まず、拓哉は頭を悩ませていた。 「ゴメンな。そう言うことだ。本当にゴメン」 拓哉は適当に誤魔化しながら何度も詫びると、その場を去って行った。 そんな拓哉の背中を愛しそうに見つめる紗千。 その瞳からは、絶対に拓哉のことを諦めない!といった紗千の強い欲望が見え隠れしていた。
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