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「さーてどうするかな?」
自宅に帰った拓哉は、自分の部屋で一人イスに腰掛け、机の上に置いた心結の携帯を眺めていた。
おそらくこの中には心結が保存している大崎先輩の写真があるだろう。
もしそれが待ち受け画面に使われていたらと思うと、拓哉は怖くて携帯を開くことさえためらっていた。
と言うより、他人の携帯を勝手に持ち帰ること自体間違っている訳で、ましてそれを盗み見るなど許される訳がない。
これ以上罪を重ねる訳にはいかない、けどどうすればいいんだ?
拓哉は心結の携帯を見つめながら深いため息をついた。
「あーーーーあ。なんで山野はあいつなんか好きになったんだ?」
拓哉はぽつりと呟いた。
そしてイスの背もたれに寄りかかりながら上体を思いきり反らし、天井を見上げた。
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