告白 *

14/22
前へ
/381ページ
次へ
作家である心結のことなら、拓哉は十分過ぎるほど知っていた。 心結が書く作品は、読み易い文章で内容も面白く人気があった。 その作品を自分が好きな人が書いていたとは、なんたる偶然! 拓哉の顔はずっと緩みっぱなしだ。 そんな中、拓哉は心結に届いた応援メッセージを読んでみることにした。 メッセージを読み進んでいくうち、拓哉の目が妖しく光った。 『恋愛小説も読んでみたいです』 『恋愛表現が乏しいように思います』 これだよ、これ!!山野の作品には、恋愛小説がまだ一つもない。 その上、投稿している作品にも恋愛的要素はほとんど含まれていない。 そう言えば京一郎が言ってたっけ。 今まで山野は一度も男と付き合ったことがないって。 ってことは、山野は恋愛モノを書かないんじゃなくて、書けないんじゃないのか? おおっ!これは案外使えるかもな。 拓哉は顎に手をあて、妖しく口元を上げた。
/381ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2935人が本棚に入れています
本棚に追加