告白 *

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拓哉は翌日、朝早く学校に向かった。 心結が朝から携帯を探しているような気がしていたからだ。 学校の玄関に着いた拓哉の目の前には、腰を屈め必死に携帯を探す心結の姿があった。 ビンゴ! 拓哉は心の中で叫んだ。 そして心結に近づくと、 「これおまえのケータイだろ」 と、心結に声を掛けた。 驚いた顔で拓哉を見つめる心結。 そんな心結に拓哉は携帯をちらつかせて見せた。 自分の携帯だと分かるとすぐ、心結は嬉しそうに拓哉に近づいて来た。 よしよし、俺の計画通りだ。 計画が順調に進む中、拓哉が一言─── 「おまえ、俺がそう簡単にケータイ返すと思ってんの?」 心結の動きが一瞬で凍りつき、瞬時に笑顔が泣き顔に変化した。 けど、拓哉はこれで止めるつもりはなかった。 初めて心結と会話する自分に少し酔いしれていたのかもしれない。 話が長くなりそうだな。 場所を変えるか。 そう思った拓哉は、心結を屋上へ連れて行くことにした。
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